春は鳥の繁殖シーズン。
楽しげなさえずりを聞くと自分まで空に吸い込まれるような気分になります。
この時期はカラスの子育て時期でもあります。
ときどきゴミを荒らしたり、あまり評判のよくないカラスですがいったいどんな生態なのでしょうか。
カラス属の鳥類。日本では7種が記録されています。
わたしたちがふだん見かけるのはハシブトガラスとハシボソガラス。
くちばしの形や鳴き声にそれぞれ特徴があるようです。
カラスは雑食性でさまざまな餌を食べています。
ゴミ漁りの印象が強いですが、多くの果実類を利用し種子を運ぶ種子散布者でもあります。
そのため大型で行動範囲の広いカラスは植物の繁殖に一役買っているといえます。
また、小鳥では食べられない大型昆虫の天敵にもなり得ます。
北海道ではバッタの大群が発生した時、カラスやムクドリがこれを食べて被害を防いだという事例があるそうです。
カラスによる被害の一つにゴミを荒らすことがあげられます。
ゴミを食べること自体は自然界の掃除屋である以上避けようがありません。
カラスを追い払う確実な方法はないので、ごみを物理的にカラスが見えないよう触れないようにすることが一番といえます。
黄色が見えないという都市伝説がありますが、これはデマとのこと。
一度広まった噂はなかなか消せないようで、ホームセンターでは今も黄色いカラス除けネットが売られていたりします。
東京都ではカラス対策として、カラスの駆除・巣の撤去・ごみ対策をおこなってきました。
しかし、駆除数に対してカラスの減少数は非常に少なく、「駆除しただけ減る」というものではないようです。
理由は、
1.繁殖によって増加
2.餌がある限り周辺から流入
3.駆除しなくても若いカラスは冬の間に一定数死ぬ
ことが挙げられます。
1度の繁殖で約2羽が巣立ちますが、若鳥は初めての冬にかなりの部分が死亡すると考えられています。
鳥の一般論として、生まれた若鳥はその年に半分程度死ぬという説もあるそうです。
駆除した個体はほとんどが若鳥。そのため駆除による効果は限定的です。
やはりごみ対策として、餌の遮断が最も有効といえるようです。
日本鳥類保護連盟「私たちの自然」2022.春号 から一部抜粋