歯周病が全身におよぼす影響はいろいろとあげられます。たとえば、糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞などはよく知られているところです。
しかし、実際のメカニズムはまだよくわかっていません。
歯周病原細菌や歯ぐきにおこった炎症を抑えるために集まってくる物質が血流にのって体内をめぐり、他臓器に炎症をひきおこすのではないかと考えられていました。
最近は別の見方も報告されています。
唾液に含まれる歯周病原菌が腸内細菌のバランスを崩すのではないかというものです。
わたしたちはふだん一日1.0~1.5Lもの唾液を常時飲み込んでいます。
飲み込んだ細菌は胃酸により腸まで届かないのでは?と思われるかもしれません。
しかし実際、健康な人の腸内でもかなりの比率で口腔内細菌が検出されているようです。
腸内細菌叢のバランスが崩れると腸管のバリア機能が低下し、さまざまな病気をひきおこします。
お口から腸へは一つの管でつながっています。そう考えると、この仮説も理解しやすいかと思います。
腸内環境をととのえることは免疫力を高めることにつながります。
腸内細菌叢を乱す原因はいろいろありますが、口腔内の細菌もそれに関与している可能性が高いかもしれません。